2012年 05月 18日
寂れた温泉街を見下ろす、山の上の湖のほとりにある一軒の食堂兼土産物屋。
祖父の代から続くその店を守っている三姉妹の長女。
恋人と一緒に東京に出て、女優になりたいと望む次女、
美容師になりたいという高校生の三女。
各々人には言えない秘密を抱えていて、穏やかな暮らしにさざ波のような波紋が広がったり、収束したり。
青山さんはまだお若いのに文章がとても落ち着いていますね。
穏やかで、繊細で、美しくて。
ただ、途中までは淡々と話が進むせいか、好きな感じなのに、どこか入り込めないものがあると思っていたのですが、長女と三女の喧嘩の場面あたりからぐっと引き込まれました。
長女の片思いの話がとても切なかった。
例えば井上荒野さんの小説だったら、ここで奪いとってるな、と思いつつ(笑)、優しく控えめなこの小説の主人公は、自分の心の嵐が過ぎるのをただ耐えて、待つんですよね。
切ないなあ。切ないけれど、時が経てばまた凪がやってくるものなんですよね。
個人的に控えめな女性に憧れるので、長女にとても好感を持ちました。
結びの一文がとても好きです。









